本日の記事の見出し
場当たり的な選択をする牛飼いをあなたは笑うことはできない
今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。
「子牛を盗まれた牛飼いとライオン」
どんな教訓があるのでしょうか?
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牛飼いが牛の群を放牧していて、仔牛を見失いました。
探しても一向に見つからず
「盗人が見つかった暁には仔ヤギを捧げることを約束します」
と牛飼いはゼウスに祈りました。
そして、森の繁みに入ると、ライオンが仔牛を貪り食っているのが見えました。
牛飼いは肝をつぶし、両手を天に差し上げ。
「主ゼウスよ、さっきは盗人が見つかったら仔山羊を捧げる約束をしましたが、今は盗人の手から逃げおおせたら牛を捧げます」
といいました。
失ったときは見つけたいと祈り、いざ見つけると逃げたいと願わざるを得ない、ついてない人にこの話は当てはまります。
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「子牛を盗まれた牛飼いとライオン」
のお話はイソップ寓話の一節です。
原文では
「ついていない人」
の教訓が記されています。
では、ビジネスにはどんな教訓があるのでしょうか?
■得るものを優先するのか、失いものを避けるのか?2つの選択で変わるもの
牛飼いは
「子牛を見つけたい」
とまず考えました。
失った子牛を取り戻すのは
「利得」
です。
そして実際に子牛を見つけると
「命の危険」
に直面することになります。
ライオンから逃げるのは
「損失回避」
となります。
人は利得の場合と損失回避の場合で
「意思決定の優先順位」
が無意識のうちに入れ替わります。
1つ例を出すので一緒に考えてみてください。
あなたは大きな自動車メーカーの役員です。
経済的な理由から3つの工場と6000人の従業員を失くことになりました。
2つのプランからいずれかを選択してください。
【パターン①】
プランA 3つの工場のうち1つの工場と2,000人の従業員を救えるプラン
プランB 3つの工場と6,000人の従業員を救える確率は1/3、しかし全く救えない確率は2/3のプラン
さて、あなたならどちらのプランを選択しますか?
「 のプラン」
ではもう1つのパターンで見てみましょう。
【パターン②】
プランA 3つの工場のうち2つの工場と4,000人の従業員を確実に失うプラン
プランB 3つの工場と6,000人の従業員を失う確率は2/3、しかしすべてを救える可能性が1/3のプラン
さて、あなたならどちらのプランを選択しますか?
「 のプラン」
恐らくあなたはパターン①では
「プランA」
を選んだことでしょう。
そしてパターン②では
「プランB」
を選んだことでしょう。
実際に行動経済学の研究で行われたもので
「80%以上の人が上記の回答をしている」
という結果を得ています。
ほとんどの人が状況によって選ぶ選択が同じということを示しています。
■ビジネスで重要なのは意思決定のメカニズムを先回りすること
先ほどの質問でパターン①は
「得られるものは何か?」
という質問になっています。
一方でパターン②では
「失うものは何か?」
という質問になっています。
つまり
「話の順番によって選びたいものが変わる」
ということです。
無意識のうちに選ぶ
「意思決定のメカニズム」
です。
利得と損失回避のどちらが正しいか?
というものに正解はありません。
ビジネスにおいて重要なことは
「両面から考えること」
です。
しかし先回りして考えないと
「意思決定のメカニズムに引きずられるだけ」
となるでしょう。
「子牛と牛飼いとライオン」の主人公のようになります。
牛飼いは
「子牛を得たい」
と考えて、ヤギをささげると誓いました。
そして次に損失回避の場面で
「子牛は差し上げる」
となっています。
あなたも同じように意思決定のメカニズムに振り回されることとなります。
「得られるものは何か?」と考えるとリスクのある選択を避けるようになる
「失うものは何か?」と考えるとリスクを負っても良いと考えるようになる
上記の意思決定のメカニズムのパターンを知っておくことが重要です。
先回りして両面から考えることができれば、正しい選択をとれるようになるでしょう。
今日はビジネス寓話シリーズ
「子牛と牛飼いとライオン」
をお送りしました。