組織にもいるはず!無能なくせに自己評価が高い人
今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。
「竪琴弾きの歌手」
どんな教訓があるのでしょうか?
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下手くそな竪琴弾きの歌手がいつも漆喰造りの家で歌っていました。
ただ漆喰の部屋は声がよく反響するので
「自分がなかなかの美声だ」
と思うようになりました。
そして自惚れが昂じ、劇場に出演しなければならぬと決心します。
舞台に上がってみると、その歌は箸にも棒にもかからず、石を投げつけて追い出されました。
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このお話はイソップ寓話の一節です。
日本のことわざで言えば
「井の中の蛙」
ということでしょうか。
ビジネスではどんな教訓があるのでしょうか?
見てまいりましょう。
■人が間違った自己評価をしてしまうのは「自己防衛の本能」
そもそもなぜ人は
「過信」
をしてしまうのでしょうか?
実は本能に由るところがあったのです。
「下方比較」
という言葉はご存じでしょうか?
人の脳は無意識のうちに
「自分より下の人と比較をする」
という習性があります。
この反応は自己防衛の一種です。
不安な状態が続けると、心身が消耗してしまうために
「脳が無意識のうちに安心感を与える」
ということを行います。
その為、自分と同じか下の人に着目するという習性があります。
恐らく寓話の竪琴弾きも
「周り歌が上手い人がいなかった」
のでしょう。
上手く聞こえる環境の中で練習もしていたために
「劇場で失敗する」
という結果になったのでしょう。
「自分の収入は良く付き合う人の10人の平均だ」
という格言があります。
人は無意識のうちに
「下方比較できる相手」
を選んでいるので、格言は正しいこととなります。
もし無意識の選択から外れたいのであれば
「まず自分の言動と行動に気づく」
というところから始めましょう。
「あいつより出来ている」
といった言葉や感情が出たら、火砲不覚をしていると気づきましょう。
■無能は人ほど自己評価が高いのはなぜ?
あなたの組織でも出来ない人ほど
「自分のチカラを過信している」
ということは無いでしょうか?
残念ながら能力が無いからこそ、過信をしてしまうということなのです。
「ダニング・クルーガー効果」
と呼ばれるものがあります。
認知バイアスの一種で
「実際の評価と自己評価のズレ」
が生じている効果です。
平たく言えば
「能力が無いため、客観的に評価できない」
から生じています。
逆に能力が高い人は
「自己評価を抑える」
という傾向があります。
組織から
「ダニング・クルーガー効果」
を排除する方法はあるのでしょうか?
「フィードバックの機会を創る」
ことで解消できます。
過信をしてしまう要因は
「実際の評価と自己評価のズレ」
にあります。
認識のギャップを埋めることが解消の道順です。
外部研修の機会で
「他社の考えや能力を知る」
という機会を創ると良いでしょう。
また上司との
「1on1ミーティング」
でフィードバックの機会を創ることも効果があります。
しかし、知識だけの研修では逆効果です。
「これは知っている」と過信を深めるだけです。
また1on1でも、ただの業績確認や雑談では意味がありません。
上司のフィードバック能力が求められます。
ただ適切に行えばかなりの効果が期待できます。
能力が足りてないにせよ
「自信が持てるマインド」
は成長マインドにつながるので、適切に対処すれば戦力になります。
私も研修で
「ダニング・クルーガー効果を持った受講生」
にあうことが良くあります。
複数回の研修であれば、ワークを通じて
「フィードバック」と「自己評価の再認識」
を創り出すことが出来ます。
研修が終わった半年後には、主力の社員となっているケースも良くありました。
もし竪琴弾きにも、適切なフィードバックの機会があれば
「劇場で感動を生む」
ことが出来るようになっていたかもしれません。
今日はビジネス寓話シリーズ
「竪琴弾きの歌手」
をお送りしました。