昔ばなしに込められた行動メカニズム
今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。
「うぐいす長者」
というお話です。
どんな教訓があるのでしょうか?
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ある商人が山道を歩いてると道に迷い
「花を咲かせた梅の木」
を見つけました。
木の下には若い美しい娘が、なんと4人もいました。
娘達に導かれ、商人は
「娘達の住む豪邸」
へ行くと、娘達は母親と5人で暮らしてる様子です。
「女ばかりで暮らしており心細いから、もし良かったら娘の1人と結婚してこのままココにいてくれませんか?」
と母親に頼まれました。
商人は快諾し、毎日美人4姉妹とキ楽しく遊んで暮らします。
ある日
「娘達と出かけてくるけど、もし留守中退屈だったら蔵を覗いて遊んでて」
と母親は言います。
「ただし、4つ目は絶対見てはいけません」
と言って母親達5人は出かけてしまいました。
1つ目の蔵は夏の景色でした。
商人の体はいつの間にか鳥になっており、夏の海の上を飛び回ります。
2つ目の蔵は秋の景色でした。
紅葉した山を飛び回る商人。
3つ目の蔵は冬の景色です。
雪の降り積もった山里の上を大喜びで飛び回りました。
とうとう商人は
「4つ目の蔵」
の前につきました。
これまでの3つがあまりにも楽しかったので、開けたくて仕方がありません。
「開けてはいけない」
といわれると余計に開けたくなります。
とうとう我慢できずに
「ちょっとだけなら…」
と開けてしまいました。
4つ目の蔵は春の景色でした。
どこまでも続く梅の木々を渡りながら商人は感動していました。
しばらく行くと
「1本の梅に5羽のうぐいす」
が留まっています。
男の姿を見ると
「うぐいす」
はいなくなってしまいました。
そこへどこからともなく、母親の声がしました。
「4番目は開けてはいけないと言ったのに。もう一緒に暮らせません」
と言われ、ハッと我に返るります。
周りの景色はす~っと消え
「娘達と最初に会った梅の木の下」
に戻ってましたとさ。
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■見てはいけないと言われれば見てしまう・・・
「見てはいけない」
ということを破ってしまって失敗する話はいくつかあります。
代表的なのは
「つるの恩返し」
でしょうか。
これらのお話は
「人の身体は言葉で動いてしまう」
ということを示しています。
どういうことでしょうか?
「見るな」
といわれたのだから見なければよいだけです。
しかしその言葉によって
「余計に意識をしてしまう」
こととなります。
例えば
「レモンを口に含んで、果汁が口の中ではじける姿を想像してください」
といわれるとどうでしょうか。
「梅干を口に含んで、下の上で転がして口の中一杯に広がる姿を想像してください」
といわれるのも一緒です。
口の中に
「唾液」
が出てきたという人も多いでしょう。
言葉によって
「脳が反応し行動が起きる」
ということです。
商人も
「見るなという言葉で行動が無意識に作られた」
ということです。
よく言われる
「子供に転ばないように」
と言うと転んでしまうというのも同じです。
このように
「言葉によって行動が創られる」
ということです。
このことは
「人間だけの能力」
と言っても良いでしょう。
誰かの行動を創るのは
「メッセージ」
ということです。
■やってはいけないことから避けるのはどうする?
最後にやってはいけないことから
「避ける方法」
を確認しましょう。
開けてはいけない⇒開けてしまう
というのが人の無意識の反応です。
ではどうしたらよいのでしょうか?
その答えは
「手間を増やす」
ということです。
「簡単に開けられるから開けてしまう」
わけです。
扉を開けるのに
「5つも6つも道具が必要」
となれば途中であきらめてしまいます。
ビジネスでも一緒です。
「必要ないことは遠ざける」
環境をセットすることで大切なことに集中できます。
行動マネジメントにおいて非常に重要な点です。
一方でお客様に動いてもらいたいときは
「できる限り簡単にする」
ということです。
面倒な手続きをしてまで、あなたの商品を欲しがる人は少ないでしょう。
この昔ばなしには
「行動科学」
の原理が詰まったお話でしたね。
ただ誘われて
「ホイホイとついて行ってしまう商人」
は元々流されやすい性質だったのかもしれませんね(笑)
今日はビジネス寓話シリーズ「うぐいす長者」をお送りいたしました。