赤鬼の姿は職を失い続ける営業の姿そのもの
今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。
「くわばらの起こり」
どんな教訓があるのでしょうか?
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昔、兵庫県の桑原のあたりに、水が豊かで米もたくさん収穫できる村がありました。
この空の上には雷様たちがいて、年に一度
「にぎやかな嫁取り競争」
を行っていました。
嫁を取る資格を得るためには3つの条件があります
・大太鼓を大きく鳴らす事ができる
・肉付きの良い人間のヘソを取ってくる事
・そのヘソの数が多い事
若い鬼たちは嫁取り競争に勝ち残るため、みな精いっぱい大太鼓を打ち鳴らします。
中でも赤鬼のピカ吉が一番上手に大太鼓を叩いてみせました。
ピカ吉は、今年の嫁取り競争に勝てる手ごたえを感じながら、
「次の条件である”大きなヘソ”」
を取るため、雲の上から人間たちのヘソを物色していました。
すると、大きなデベソを出して昼寝している寺の和尚さんを発見します。
しかし我先にヘソを取ろうと仲間と競り合っているうちに誤って雲から転落してしまいました。
落ちたところは寺の井戸で、ものすごい雷の音に集まってきた村人たちによって井戸の中に閉じ込められてしまいました。
井戸の中から必死に助けを乞うピカ吉を可哀そうに思った和尚さんは
「二度と桑原には雷を落とさない」
事を約束させて井戸から出してあげました。
それから今でも雷が落ちそうになると「クワバラ、クワバラ」と言えば、落ちてこないそうです。
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自分の手柄に焦るばかりに、失敗をした赤鬼の話です。
現実の世界にもよくあることです。
ビジネスの世界ではどんな教訓となるでしょうか?
■自分の都合だけを押し付ける営業の末路
まず思いつくのは営業マンの姿です。
しかもあまり成績の上がらない、いわばダメ営業の姿です。
自分の都合を押し付けて
「失敗する営業」
というのは想像がつくのではないでしょうか?
製品の話しかしない
自社の都合しか話さない
質問をしない
特に最後の
「質問が出来ない」
というのは致命的です。
私は「ダメ営業の3要素」というものを、初球の営業研修で教えています。
そのうちの1つが質問が出来ない営業です。
でべそを出して寝ている和尚は
「ニーズのあるお客様」
と言い換えることが出来ます。
そのお客様との契約ばかりを考えていたら、井戸に落ちてしまうという鬼と一緒です。
賢い鬼ならば、もう少しうまくやれたことでしょう。
■これからの市場で生き残るために「営業に必要な条件」
2030年には
「営業の50%が職を失う」
と言われています。
理由は
「製品の情報だけなら営業と話す必要が無い」
となっているからです。
また1人1人の生産性が問われ
「無駄な商談に時間を費やすことが出来ない市場」
となっているからです。
お話だけで…
10分だけでも…
ご挨拶だけでも…
こんな昔の営業スタイルは消滅していることでしょう。
ではどんな営業が生き残れるのでしょうか?
私が提唱しているのは
「お客様の課題を再構築できる営業」
としています。
お客様自身も
「自分たちが抱えている課題」
というのは1つの側面からしか見えていません。
理由は自分たちの持っている情報に偏りがあるからです。
階大解決の方法を持っている営業であれば、違う視点で課題を見ることが出来ます。
2つの視点と情報を組み合わせ
「課題の再構築」
をすることがこれからの営業に求められます。
私もコンサルティングの仕事をしていますが
「最大の役割は課題の特定」
です。
解決方法の提示も必要ですが、もっと重要なのは
「課題の特定」
となります。
問題解決というのは
「特定した時点で50%は解決した」
といって良いでしょう。
問題の根本がわからないから、解決しないわけです。
つまりこれからの営業は
「優秀なコンサルタント」
との戦いになります。
自社の製品だけでなく、他者との連携を作り
「複雑に絡みあったお客様の課題」
をひも解いていく必要があります。
目の前の情報に飛びつくだけでは生き残れません。
ただし、目の前の情報に飛びつくのも脳のメカニズムであることを覚えておいてください。
職を失う50%の営業は脳のメカニズムに従うだけです。
今日はビジネス寓話シリーズ
「くわばらの起こり」
をお送りしました。