今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。
「ムカデの医者むかえ」
どんな教訓があるのでしょうか?
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虫たちが集まって遊んでいたとき、一匹の虫が
「お腹が痛い」
と言い出しました。
みんなは、急いで医者を呼びに行くことにしました。
足の速い者に行ってもらうことになって
「誰がよかろう」
と相談しました。
すると、一番年上の虫がいいました。
「ムカデは足がいっぱいあるから、きっと速いぞ」
ということで、ムカデが医者を迎えに行くことになりました。
みんなは、病気の虫のまわりに集まって
「しっかりしろ」
といいながら、あれこれ、世話をしていました。
しかし、いつまで待っても医者は来ません。
待っても待っても医者も来ないし、ムカデも帰ってきません。
そして二、三匹の虫が玄関まで行ってみました。
するとムカデが汗をたらたら流して、一生懸命にわらじを脱いでいました。
「医者はまだかい」と、虫たちがたずねると、ムカデはいいました。
「おら、まだ草鞋もぜんぶはいていないのに、医者なんて、どうして来るものか」
虫たちが、びっくりしてよく見ると
「ムカデはわらじを脱いでいるのではなくて、履いているところでした。」
ムカデは、足がいっぱいあるから、速いだろうと思ったのは、まちがいでしたとさ。
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ムカデの医者むかえは、日本の昔話の1節です。
「脚が多いから速い」という単純な発想ではダメだよというお話です。
ビジネスではどんな教訓があるのでしょうか?
■あなたにも起こっている「会議の全会一致の罠」
ムカデの医者むかえは
「脚が多いから速い」
という思い込みが間違いという話です。
もしお話の中で
「脚が多いから速いとは限らない」
と別の意見が出たらどうなるでしょうか?
ビジネスの世界では
「会議」
の中で同じことが起きています。
最初の意見が
「ムカデではなく別の虫」
が推薦されていたら、物語の結末は全く変わっています。
人の脳は基本的に
「比較をして判断をする」
ことしかできません。
会議でも最初に出た意見に対して
「あなたは反対の意見」
を持っていたとします。
そこで無意識に考えるのは
「前の意見を覆すだけの根拠があるか?」
ということです。
最初の意見に対して、次に発言した人も
「裏付けを持った支持」
をした場合、最初の意見は強固になります。
すると、次の人も賛同する姿勢を示しました。
あなたが意見を述べる順番になりましたが
「前の3人の意見と根拠を覆せるか?」
という思考が働きます。
本来、会議では異なる意見をぶつけ合う場です。
しかし、いつの間にか参加者は、自分の意見は前の意見を覆せるかを考えます。
ムカデの医者むかえの話は
「脚が多いから速い」
というのが意見の根拠です。
一見すると筋が通っているような意見です。
だから他の虫たちも
「そうだ、そうだ」
を言って賛同をしました。
賛同した虫の中には
「ほかの意見を持っているが、最初の意見を覆すまでではない」
と考えたものもいたかもしれません。
その結果、会議は
「間違った全会一致」
で終了となり、近い将来失敗をすることになります。
■トップセールスは無意識の頑固にも容易に対応する
そもそも一番年上の虫は
「なぜ、脚が多いと速いのか?」
と思ったのでしょうか?
そして、もし違う意見が出たとしても、弱い根拠だったら覆すことはしないでしょう。
例えば
「ムカデの走る姿」
を別の虫が示したとします。
しかし脚が多い方が速いという意見を持っていので
「それは、たまたま遅い場面でだった」
とはねのける可能性があります。
もしかしたら
「2本の脚なら、2歩しか進めない。100本の脚なら、100歩進める」
と崩壊した論理で対抗してくるかもしれません。
実際に、ビジネスの世界でも同じことが起きています。
人の脳は無意識のうちに
「自分の意見を支持する情報以外を無視する」
という性質があります。
営業の場面では
「お客様が偏見を持っている」
というケースがあります。
この相手に正面から否定しても意味はありません。
また、あなたが正しいと思う意見をわかりやすく伝えても意味がありません。
トップセールスは違うコミュニケーションを取ります。
お客様の脳のメカニズムを先回した商談を展開します。
そのため
「ムカデを行かせるのが最適だ」
というお客様を見事に違う方法を取らせることができます。
もしあなたも
「トップセールスの技術」
を再現出来たらどうですか?
人の意思決定のほとんどは無意識のうちに行われています。
あなたも先回りする技術を使えば、トップセールス同様の営業力を手にすることができます。
その方法は、また別の機会にお話しましょう。
今日はビジネス寓話シリーズ
「ムカデの医者むかえ」
をお送りしました。