わかっちゃいるけどやめられないの科学
大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお届けいたします。
「サソリとカエル」
というお話です。
どんな教訓があるのでしょうか?
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一匹のサソリが川岸を歩いていました。
「向こう岸に渡れる場所」
を探していたのです。
そこにカエルが現れました。
サソリはカエルに
「俺をおぶって向こう岸まで運んでくれないか?」
と頼みました。
するとカエルは
「冗談だろう。お前は俺を刺すに決まっている」
と言います。
サソリはこう言い返します。
「なんて理屈の通らない言い分だ!君を刺したら俺まで死んでしまう」
カエルは納得しサソリを背負って川を渡り始めました。
ところが川の真ん中で
「カエルは背中に鋭い痛み」
を感じました。
「どうして刺した!お前も俺も死んでしまうのに」
カエルはサソリと沈みながら叫びました。
するとサソリは
「わかってはいるけどやめられない。それが俺の性なんだ」
といって沈んでいきました。
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何ともバカみたいな話です。
この話を読んだ方は
「サソリは随分と愚か」
と思ったに違いありません。
そうです。
サソリは愚かな行動をして沈んでいきました。
この話の教訓は何でしょうか。
「愚かな行動をするな」でしょうか?
それでは当たり前です。
しかし我々は
「サソリと同じような行動」
を普段取っています。
■わかっちゃいるけど、やめられないは仕方がないこと!?
「わかっちゃいるけど、やめられないという行動」
は誰もがとってしまうことです。
「ダイエットをしよう!」
と思ってもついつい食べてしまう。
「禁煙をしよう!」
と思ってもお酒の席で吸ってしまう。
「運動をしよう!」
と思っても明日からやろうと言って先送りする。
これはよくみられる光景です。
「ダイエットするのだから食べてはいけない」
というのはサソリが針を刺してはいけないと一緒です。
サソリも針を刺さなければ
「向こう岸に渡れる」
という報酬を手にできるにもかかわらずやってしまいます。
実は仕方がないことでもあります。
脳のメカニズムから考えれば当然の反応です。
人の脳は
「長期的な利得に価値を感じない」
という性質があります。
平たく言えば
「目の前の欲望をかなえようとする」
ということです。
ダイエットで結果が出るのは
「数か月後」
のことです。
しかし目の前の甘いものは
「数秒」
で欲求が満たされます。
人の脳は数秒の欲求を優先しようとします。
生物として生き残ろうとする、本能の反応です。
サソリであれば、本能にしたがってしまうのは仕方がないことかもしれません。
意志のチカラで押さえようとしても、難しいでしょう。
像が歩くのを、一本の手綱で押さえるような行為です。
必要なことは
「環境を整える」
ことです。
脳が短期的欲求を優先しないような
「環境」
を作ってしまえば、無理なく意図する結果を手にできます。
脳のメカニズムを先回りすれば、大抵のことはうまく行きます。
私の提唱する
「行動創造理論」
はそんな理論です。
今日はビジネス寓話シリーズ「サソリとカエル」をお届けいたしました。