【ビジネス寓話シリーズ】「石を引き上げた漁師」自己啓発の話に隠された営業技術

2022.03.13

齋藤英人
レゾンデートル株式会社 代表取締役
『行動創造理論』第一人者
自らが開発した「行動創造理論」を活用し企業研修、公開講座、ビジネス講演など年間100回以上登壇をしており、大手企業や成長企業を中心に営業力向上と売上拡大に力を注いでいる

 

「喜びと悲しみは兄弟」はビジネスにも共通する言葉

 

 

今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。

 

 

「石を引き上げた漁師」

 

 

どんな教訓があるのでしょうか?

 

 

———————————————————-

 

漁師たちが、地引き網をひいていました。

 

 

かなり手ごたえがあるので、
「今日は大漁だぞ!」
と、みんな喜んでいました。

 

 

ところが、いざ陸にあげてみると、アミの中にはほんの少しの魚しかいません。

手ごたえがあったのは、石ころがいっぱい入っていたからです。

 

 

「こんなひどい話があるものか!

 漁師たちはくやしがりましたが、1人の年取った漁師がみんなに言いました。

 

 

なあ、みんなクヨクヨするのは止めよう。
”喜びは悲しみの兄弟”と、言うじゃないか。

 

さっき喜んだんだから、今度は不愉快な目にあうのは当然だ。
でも、次の今度は良い事があるよ。

 

 

世の中は、そんなものです。

 

 

どんなに良いお天気でも、急に雨が降る事がありますし、その反対もあります。
今が不幸だからと言って、落ち込む必要はありません。

 

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このお話は
「イソップ童話」
の一節ですが、他の話とは少し趣が異なります。

 

 

海外の寓話なので
「主張した結果、勝つか負けるか、騙されるか」
という趣旨の話が多くあります。

 

 

このお話は少し趣が異なります。

ではビジネスの視点でどんな教訓があるか見てまいりましょう。

 

 

■1つ目の教訓は、マネジメントの課題の「叱るとほめるはどっち?」

 

 

ビジネスの世界でも
「成功と失敗」
が繰り返されます。

 

 

ここで思い起こせるのは
「部下への指導」
となります。

 

 

部下の指導でテーマに上がるのが
「ほめた方が良いか、叱ったほうが良いか」
という議論です。

 

 

褒める時=上手く行った時

叱るとき=失敗したとき

 

 

当然、上手く行った時に叱る上司はいません。

ただし、大きな勘違いが発生しています。

 

 

特にベテランのマネージャーに起こりがちな勘違いです。

 

 

ベテランのマネージャーは
「自分も叱られてきた」
という経験を持っています。

 

 

その失敗と叱咤を乗り越えて
「マネージャーのポジション」
にたどり着きました。

 

 

言わば1つの成功体験となります。

ひとは自身の成功体験を高く評価する性質があります。

 

 

脳の情報の扱い方で決まっているので
「誰もが自分の成功体験を高く評価する」
ことが明らかになっています。

 

 

するとベテランマネージャーは部下に対して
「叱る」
というマネジメントを選択しやすい傾向にあります。

 

 

ハラスメントの縛りがあるので、言葉を選びながらになります。

ただ、叱った後に上手く行くことは多くあります。

 

 

その為ベテランマネージャーは
「叱る」
というマネジメントを繰り返そうとします。

 

 

しかし実は叱ることにあまり効果はありません。

 

 

今日の寓話にあったように
「平均回帰」
が起きているだけのケースがほとんどです。

 

 

失敗の次は上手く行くことが多いだけです。

 

 

しかし叱るを指導のベースにしているマネージャーは
「自分の指導のおかげ」
と勘違いをしています。

 

 

むしろ人は
「期待をされたほうが良いパフォーマンスがでる」
ということが行動科学で明らかになっています。

 

 

■「石を引き上げた漁師」の話には強力な営業技術がある

 

 

平均回帰はあるものの、常に交互に良い悪いがでるわけではありません。

失敗が続くこともあるでしょう。

 

 

「失敗の友達は成功」
という言葉で前向きにとらえようというのは寓話の教訓です。

 

 

わざわざ同じことをこの記事で言っても意味がありません。

 

 

今日の寓話に通じる
「営業の技術」
について触れてみましょう。

 

 

「あなたの失敗をドンドン商談に入れる」
という科学的根拠のある技術です。

 

まず大前提として
「人の脳が好む情報」
というものがあります。

 

 

人の脳が好む情報は
「誰かの失敗の情報」
です。

 

 

人間の脳は
「下方比較」
を無意識に行っています。

 

 

このメカニズムは自己高揚感を高めるもので
「前向きな姿勢を保つための自己防衛の一種」
の機能です。

 

 

下方比較を行うのは
「生物として劣っている」
と認識をしてしまうと、生きていけなくなることを知っているからです。

 

 

商談相手のお客様も同じメカニズムを持っています。

 

 

あなたが成功事例や上手くいった例を話したとしても
「お客様の脳が好むものではない」
ということです。

 

 

成功事例や上手く行った話は
「商談プロセスの後半」
で行えばよいでしょう。

 

 

商談の前半では
「積極的に失敗したことを伝える」
ことのほうがよっぽど重要です。

 

 

その後に
「失敗を乗り越えたストーリー」
を伝えればよいでしょう。

 

 

下方比較と同様に
「乗り越えるストーリーに共感を覚える」
のも人の脳です。

 

 

自然と営業基本技術の
「両面提示」
を自然に入れ込むことが出来ます。

 

 

石を引き上げた漁師の教訓を
「営業技術」
に変換すると、上記の方法につながります。

 

 

魚のを引きあがられた時だけでなく
「石を引き上げたとき」
の話をするということです。

 

 

石を引き上げた漁師の話も
「石を引きあげた」
から寓話になったということです。

 

 

あなたの失敗は活用すれば
「その時点で成功の材料となる」
ということですね。

 

 

「喜びは悲しみの兄弟」
ということですね。

 

 

今日はビジネス寓話シリーズ「石を引き上げた漁師」をお送りしました。

 

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行動創造理論第一人者
レゾンデートル株式会社代表取締役
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