あなたが何かを失ったときに感じるものの正体を教えてくれる話
今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。
「コウモリとイバラと水薙鳥」
どんな教訓があるのでしょうか?
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コウモリとイバラと水薙鳥が商いの旅に出ました。
コウモリは金を借りて資金に差し出します
イバラは着物を積み込みました
水薙鳥は銅を買い込んで運び入れました
そして三人は船出をしました。
ところが嵐で船が転覆して、三人はすべてを失い、命からがら、陸地にたどり着きました。
それ以来、水薙鳥はいつか見つかろうかと銅を求めて深みに潜ります。
コウモリは借金取りを怖れて、昼は姿を見せず、夜活動します。
イバラは着物を捜し求めて、自分のものを見つけようと、道行く人の服につかみかかるようになりました。
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「コウモリとイバラと水薙鳥」のお話はイソップ寓話の一節です。
失ったものの価値は大きく感じ
「未練を持つ続ける」
という話です。
ビジネスではどんな教訓があるのでしょうか?
■手にする喜びよりも失ったもののほうが大きい
持っていた物を失うというのは
「大きな心理的負担」
を感じます。
2万円を手にする喜び
2万円を失う悲しみ
金額と同様に感情の大きさは同じでしょうか?
実は全く異なります。
人は無意識のうちに
「手にする喜びよりも、失う悲しみが大きい」
と感じています。
数値にすると
「2倍~2.5倍大きくなる」
と示した経済学者のダニエル・カーネマンの研究が示しました。
物語の登場人物も
「手にした喜びより失ったものを大きく感じた」
ために、その後の行動が変わったということです。
正にこの行動が
「営業の提案の基本」
になります。
ほとんどの営業は
「ウチの製品を導入すれば〇〇になります」
と提案をしていることでしょう。
しかし、上記の提案ではお客様の本能は動きません。
違うアプローチが必要ということです。
トップセールスたちは間違いなくこの技術を使っています。
私の提唱する行動創造理論でも、基本的な技術として教えています。
もしなかなか数字が残せないのであれば
「提案方法」
を変えることをお勧めします。
■この話から組織が学ぶべきものとは?「投資すべきこと」
損失を回避しなければならないと考えるのも
「太古の時代から遺伝子に書き込まれた情報」
です。
人類がここまで反映した理由の1つに
「リスクを避けられた」
というのは大きいでしょう。
もし私たちの祖先が
「何も考えず密林や荒野を1人で歩く」
などということをしていたら、私たちは存在していなかったでしょう。
生存競争に敗れ、絶滅していたことでしょう。
そのため、人は無意識のうちにリスクを回避したり、損失を大きく感じたりします。
しかし多くの組織では
「ミスやエラーを積極的に避ける」
という選択をあまりとっていないように見受けられます。
これまで消えていった組織は例外なく
「エラーやミスが起因で損失を重ね続けた」
という結果です。
例えば、コーヒーショップやファストフード店で
「従業員がコーヒーのサイズを毎日1回間違える」
というミスをしていたらどうなるでしょうか?
コーヒーの原価
コップの原価
作り直しの時間
上記のコストは間違いなくかかります。
1つのミスは数十円かもしれません。
しかし、5人の従業員がいたら数百円になります。
1年続いたら、数十万円です。
店舗が数千あれば億単位の損失です。
にも拘わらず多くの組織では
「エラーの分析や対策に投資をする」
ということを行いません。
コウモリとイバラと水薙鳥のお話でも
「大切なものを失ったのは転覆というエラーから」
です。
もし転覆しないように、周到な準備や対策をしていたら、このお話は存在していません。
組織も同じように、損失を出すことはないということです。
今日はビジネス寓話シリーズ
「コウモリとイバラと水薙鳥」
をお送りいたしました。