【ビジネス寓話シリーズ】「酒買い小僧」賢そうな小僧もビジネスでは通用しない!?

2022.10.16

齋藤英人
レゾンデートル株式会社 代表取締役
『行動創造理論』第一人者
自らが開発した「行動創造理論」を活用し企業研修、公開講座、ビジネス講演など年間100回以上登壇をしており、大手企業や成長企業を中心に営業力向上と売上拡大に力を注いでいる

一見賢そうな小僧もビジネスの世界では通用しない理由

 

 

今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。

 

 

「酒買い小僧」

 

 

どんな教訓があるのでしょうか?

 

 

————————————————

 

ある寺に和尚さんと小僧さんが住んでいました。

和尚さんは酒好きで、寒い夜には「腹の底から温まるわい。」と言いながら晩酌をしておりました。

 

 

酒が足りない時には、雪の中、酒屋まで酒を買いに行かされる小僧さんは、お酒を飲みたいと思うようになっていました。

ところが、小僧さんがどんなに頼んでも和尚さんはお酒を飲ませてくれません。

 

 

ただ、和尚さんは、冗談半分に
「もし、わし一人で一斗(=10升)の酒を飲まねばならんことになったら、お前にも手伝ってもらうかのう。」
と言ったそうです。

 

 

その日から、小僧さんは、どうしたら和尚さんに一斗の酒を買わせることができるかを考えるようになりました。

 

 

そんなある夜、寺にお客さんがやって来ました。

お客さんの話相手をしているうち晩酌の時刻になったので、和尚さんは小声で小僧さんに酒を買ってくるように言いました。

 

 

ところが、小僧さんは大声で
「酒はどれくらい買うのですか?」
と聞き返したからたまりません。

 

 

お客さんの前で恥をかいてしまった和尚さんは、今後こういうことがないように、
「小僧さんと指一本出したら一升の酒を買う」
という合図を決めておくことにしました。

 

 

それからしばらくした寒い日、小僧さんは寺の池の厚い氷を割り、その上に雪をかけて割れている部分を隠しておいて、和尚さんを呼びました。

 

 

そうして、言葉巧みに和尚さんを氷の上に誘ったのです。

まんまと騙された和尚さんは、割れた氷の上に乗って、池の中に落ちてしまいました。

 

 

慌てた和尚さんは、引っ張り上げてもらおうと小僧さんの方に両手を伸ばして
「早く!手じゃ!」
と叫びました。

 

 

すると小僧さんは和尚さんをほったらかして酒を買いに行き、一斗もの酒を買ってきたのでした。

 

 

和尚さんが理由を聞くと、
小僧さんは「和尚さんが指を十本出して早くしろと言うたから、急いで一斗の酒を買ってきました。」
と言うたそうです。

 

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日本の昔話によくある
「和尚と小僧の知恵比べ」
のお話です。

 

 

このお話のビジネスの教訓は
「コミュニケーション」
に見つけられそうです。

 

 

■1本の指で一升のお酒を買うというサインは共通言語

 

 

「指一本出したら一升の酒を買う」
という合図を2人は決めていました。

 

 

合図は組織の中では共通言語と置き換えることが出来ます。

 

 

組織の中に共通言語が出来ると
「生産性が上がる」
ということはご存じでしょうか?

 

 

共通言語があると
「イメージが共有できる」
という利点があります。

 

 

細かく指示を出さなくても伝わるようになります。

指示を出し手り効いたりする時間が無くなります。

また齟齬が無くなるので、やり直し作業も減ります。

 

 

例えば
「青信号」
というのも共通言語です。

 

 

青色の合図がだされたら、誰もが交差点を渡ります。

「そんなことはしない」という人はいないでしょう。

 

 

もし青信号という共通言語が無かったらどうなるでしょうか?

安全に通行するためには、人手が必要になります。

 

 

あらゆる交差点で説明員が
「一定時間車の交通を止めるので、その間に渡ってください」
と歩行者に説明をします。

 

 

車のドライバーに対しても
「今、歩行者を渡らせているので、一定時間止まってください」
と説明が必要です。

 

 

あらゆる交差点で渋滞が出来るでしょう。

また説明の聞き間違いなどで事故になるかもしれません。

 

 

少し極端な例ですが
「共通言語が生産性を上げる」
というイメージはお持ちいただけたのではないでしょうか?

 

 

■物語の小僧と同レベルの営業が多すぎやしませんか?

 

 

小僧は自分がお酒を飲みたいがために
「和尚を湖に落とした」
というお話です。

 

 

恐らくこの後小僧は、相当和尚に叱られたことでしょう(笑)

 

 

しかし多くの営業マンは
「小僧と同じ事」
をしているかもしれません。

 

 

さすがに
「自分たちの売上が上がれさえすればよい」
という営業は今の市場にはいないと思います。

 

 

しかし
「自分たちの都合だけで商談をする」
という人は少なくありません。

 

 

私も営業を受ける立場ではありますが
「ひどいレベルの営業」
にあうことはしばしばです。

 

 

営業研修の講師ということもあり、余計に気づいてしまうこともあるのでしょう。

しかし目に余ることもあります。

 

 

そもそも質問をしてこない

こちらから質問をしても答えない

話して決めたことを無視した提案を出してくる

 

 

恐らくこんな営業は
「高いと断られました」
という報告ばかり上げている営業でしょう。

 

 

私は研修でもお伝えしていますが
「高いという断られ方は無い」
と定義しています。

 

 

「あなたの営業力では買う気が起きない」
とはお客様も言わないでしょう。

 

 

営業に求められる役割とスキルは大きく変わりました。

しかし、その役割とスキルを満たしている人はまだまだ少なく感じます。

 

 

「和尚を言葉巧みに湖に落として、自分が飲みたいお酒を買ってくる小僧」
のような営業では、数年のうちに職を失くしてしまうでしょう。

 

 

そんな教訓が今日のお話には詰まっている気がします。

 

 

今日はビジネス寓話シリーズ
「酒買い小僧」
をお送りしました。

 

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