【ビジネス寓話シリーズ】「ねことねずみ」教訓は優しさではないということ

2021.01.31

齋藤英人
レゾンデートル株式会社 代表取締役
『行動創造理論』第一人者
自らが開発した「行動創造理論」を活用し企業研修、公開講座、ビジネス講演など年間100回以上登壇をしており、大手企業や成長企業を中心に営業力向上と売上拡大に力を注いでいる

 

「優しい」で片づけられない、行動科学のお話

 

 

大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。

 

 

「ねことねずみ」です。

 

 

どんな教訓があるのでしょうか?

 

——————————-

 

むかし、ある所におばあさんとおじいさんが住んでいました。

 

 

ある雨の日、おじいさんは家の前で
「子猫」
を見つけたので、家に連れて帰りました

 

 

そして、おじいさんとおばあさんは
「子猫を自分の子のように」
大事に育てました。

 

 

ある日おじいさんが納屋に行くと
「シャリシャリ」
という何かをこするような音が聞こえました。

 

 

そして次の日も
「シャリシャリ」
という音が納屋の方から聞こえます。

 

 

猫が納屋へ行って見ると、
「音は納屋の床にあいた穴の下」
から聞こえてくるのに気がつきました。

 

 

また次の日、猫が納屋に行ってみると
「豆を持った子ねずみ」
がいたので捕まえました。

 

 

捕まった子ねずみはこう言いました。
「オラたちねずみは、雨が降るとねずみのお宝を磨かねばならないのです。」

 

 

そしてさらに言いました。

 


「これは大変な仕事でおっかさんが寝込んでしまいました。」

「おっかさんに栄養を付けさせるため、この豆が必要なんです。」

「おっかさんが元気になったときには、必ず猫さんに食われます。」

 

 

猫は可哀想に思い、ねずみを逃がしました。

 

 

そして家に戻ると何を思ったのか
「戸棚に飛び乗り、豆の袋やら壷やら」
を倒します。

 

 

おじいさんとおばあさんが
「これはどうした事か」
と見ています。

 

すると猫は納屋へ行き、床の穴からねずみの巣穴に豆をたくさん落としていました。

 

 

ねずみの巣穴では
「猫が落とした豆のおかげ」
でおっかさんの具合はだいぶ良くなりました。

 

 

ただ
「子ねずみが猫に食われてしまう」
と大騒ぎになっています。

 

 

しかし子ねずみは
「これでもう思い残すことはない」
と言い穴から出てきました。

 

 

「猫さんありがとう、約束どおりオラを食べてください。」

 

すると猫は何もせずに去っていきました。

 

 

それからしばらくして
「チャリンチャリン」
という音が納屋から聞こえてきました。

 

 

ねずみの巣穴から
「小判」
がたくさん出てきました。

 

 

ねずみが一族で穴から出てきて言います。

 

「おかげさまで、無事ねずみのお宝を磨き上げることが出来ました。これはほんのお礼です。」

 

 

その後、おじいさんとおばあさんは
「ねずみのお宝」
のおかげで何不自由なく暮らし、猫もねずみもかわいがったそうです。

 

——————————-

 

 

このお話は
「他者貢献」
のすばらしさを語ったお話です。

 

「おじいさんとおばあさん」⇒「猫」

「猫」⇒「子ネズミ」

「子ネズミ」⇒「おっかあネズミ」

「ネズミ一族」⇒「おじいさん、おばあさん」

 

 

このように
「自分以外の誰か」
に対して貢献をしようとします。

 

 

その結果
「登場人物全員が幸せになった」
というお話です。

 

 

■教訓の裏側には「科学的根拠」がある

 

 

人間は
「人のために行う行動の方がチカラを発揮する」
ことが明らかになっています。

 

 

「空気イスの実験」
で明らかになりました。

 

 

人が力を発揮するときは、こんな心理状態

 

 

これは
「内発的モチベーション」
と呼ばれるものです。

 

 

報酬や地位などと言った
「外発的モチベーション」
よりも強く継続的に力を発揮することになります。

 

 

猫が外発的モチベーションを優先して
「子ネズミを食べた」
としたら誰もハッピーになりませんでした。

 

 

このように
「昔ばなしのような寓話の教訓」
も科学的根拠があるということです。

 

 

営業であれば
「お客様の立場になって考える」
ことが顧客志向です。

 

 

気を付けていただきたいのが
「お客さんのため」
ではありません。

 

 

「お客様のため」
と考えているのはあなたの独りよがりな考えです。

 

 

お客さんの立場とは言い換えれば
「お客様の脳」
となって行動をするということです。

 

 

■相手のためになることを行うと「もう1つの行動科学が発動する」

 

 

お客様の脳となって考えると
「もう1つの行動科学」
が働くことになります。

 

 

それが
「返報性の法則」
です。

 

 

人の脳は
「バランス」
を非常に重視をします。

 

 

人に助けてもらったとすると
「もらっただけではバランスが悪い」
を感じます。

 

 

そして脳は
「バランスを保つためにお返しをしよう」
と考え始め、行動をさせようとします。

 

 

「ここまでやってくれたんだから」
と思ったことは1度や2度ではないはずです。

 

 

やさしさなどではなく
「行動科学」
によるものです。

 

今日のお話はことわざの
「情けは人の為ならず」
に置き換えることができますね。

 

 

今日はビジネス寓話シリーズ
「ねずみとねこ」
をお送りいたしました。

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著者

行動創造理論第一人者
レゾンデートル株式会社代表取締役
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