「なぜオオカミは歯を失ってしまったのか?」
今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。
「オオカミの医者」
どんな教訓があるのでしょうか?
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ロバが牧場で草を食べているとオオカミが襲い掛かってきました。
そこでロバは、足を引きずって歩くふりをしました。
オオカミがそばに来て訳を聞くと、
「垣根を越えようとしたら蹄にトゲが刺さったので、その棘を抜いてからかぶりつくがいいよ」
とロバが言います。
オオカミはその助言を聞いて、驢馬の足を持ち上げ、蹄の棘を抜こうとします。
するとその隙にロバはオオカミの口をひと蹴り、歯をぶっ飛ばしてしまいました。
オオカミは、
「この仕打ちは当然だ、親父が俺に料理の術を教えてくれたのに、どうして自分で医者の術なんかに手を出したのだろう」
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オオカミの医者は
「イソップ寓話」
の一節です。
オオカミがロバを食べようとする普通のお話です。
しかしオオカミは自分で選んだ医者の術によって、歯を失ってしまいました。
イソップ寓話では
「ロバは愚かな象徴」
として描かれることが多いですね。
そのロバに蹴られるオオカミは、さらに愚かであると伝えているのでしょう。
ではビジネスではどんな教訓があるのでしょうか?
■無能な人ほど自分のやり方を手放せず固執する
まず着目したい点は、最後の1文です。
親父に教わった料理の術ではなく
「自分で医者の術を手にした」
という点です。
オオカミの仕事は
「狩りをして美味しく食べる」
というものです。
しかし物語のオオカミは
「間違った術」
を身につけて失敗をしています。
ビジネスにおいても
「正しいやり方が存在するにも関わらず、間違った方法でやろうとする人」
はかなりの数で存在します。
自分のやり方にこだわるタイプは2つのパターンに分けられます。
1つ目は
「自分のやり方で成績を残している人」
です。
「結果が出ているのなら良いのでは?」
と思われるかもしれません。
もしビジネスがあと1年で終わるなら良いでしょう。
しかし市場は絶えず変化をし続けていきます。
変化の中で、自分のやり方だけで通用することはありません。
営業研修の受講者にもいるのですが
「そのやり方で結果が出る案件しか取れていない」
と私の目には映ります。
または緊急性の高い課題を持っているお客様からしか契約が取れない状態です。
もし営業組織の中で成績がよかったとしても、それは運がよかっただけに過ぎないタイプです。
もう1つのタイプが
「自分のやり方で成果が上がらないタイプ」
です。
このタイプはかなり厳しいですね。
人はそもそも無意識のうちに
「自分の能力は平均より上だ」
と思いこむようになっています。
劣等感だけにとらわれると、動けなくなり死につながるからです。
言わば本能の防衛本能の一種です。
しかし、能力が無い人ほどこの防衛本能にハマります。
「ダニングクルーガー効果」と呼ばれ
能力が無い人ほど、自分を過大評価する心理効能です。
指示や指導を無視して
「自分のやり方に固執して成績が上がらない」
なんて人が周りにいるのではないでしょうか?
■キャリアを重ねていくと失っていく「気づきの機会」
もう1つの教訓は
「オオカミの気づき」
です。
物語のオオカミは残念ながら
「歯を失った」
時点で気づきを手にしました。
しかし、もう狩りも出来ないので、数日後に命を落とすことになるでしょう。
ではもしロバに声をかけられた時気づけたら
医者になろうと思ったとき気づけたら
親父に料理の術を教わっているときに気づけたら
オオカミの人生は変わっていたでしょう。
少なくともロバの脚のとげを抜こうとしたときに、蹴られるなんてことはなかったはずです。
気づきを得られない人の特徴があります。
・自己評価が高く他人の意見に耳を傾けない
・他人の意見を聞く機会が無い
・自身の過ちを認識できない
・原因を追究しない
・疑問に思えない
・客観的な視点を持てない
年齢を重ねるごとに
「人の意見を聞く機会」
というのは少なくなっていきます。
若手のころは上司や先輩が指導してくれました。
しかしキャリアを重ねてポジションも上がると、誰も意見を言ってくれなくなります。
しかし、その時点で気づいてももう遅いでしょう。
オオカミも親父さんに言われているうちに気づけばよかったのですが・・・
他人の意見が得られないのであれば
「自分で気づく」
しかありません。
その時に使える
「単純な魔法の言葉」
があります。
「なぜ」という言葉です。
気づきを得るために唯一必要な言葉です。
「なぜ?」という思考を常に持てれば、発見の世界に変わるでしょう。
まずは1日1回でも
「なぜ?」
と思う機会を創ることから始めてみるのも良いでしょう。
今日はビジネス寓話シリーズ
「オオカミの医者」
をおおくりしました。