あなたは自ら吊るされた男になっている
大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。
「吊るされた男」
というお話です。
どんな教訓があるのでしょうか?
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一人の罪人が王様の前に引き出されました。
王様は彼に
「お前には2つの選択肢がある」
と言いました。
「絞首刑になるか、黒い扉の向こうで個別の刑を受けるか」
という選択肢を与えました。
罪人は
「絞首刑」
を即決で選びました。
絞首刑が執行される直前、罪人は王様に聞きました。
「あの黒い扉の向こうには何があるんですか?」
王様はその質問をはぐらかすように
「わしは必ず2つの選択肢を与える。しかしほとんどが絞首刑を選ぶ」
と答えました。
罪人は
「王様教えてください。どうせ私には誰にも話すことができないのだから」
と黒い扉の向こうのことを必死で聞き出そうとします。
おもむろに王様は口を開いて
「自由だよ、自由!」
と繰り返しました。
「大抵のものは未知への恐れがよほど怖いのだろう」
と言いました。
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この寓話では
「未知」
に対するとらえ方に触れています。
どうせ死ぬのであれば
「想像できる死に方のほうがまし」
という選択をしたという話です。
このお話では
「死の選択」
に触れていますが、教訓は生きている間のことです。
人は行動をする前に必ずすることがあります。
それは何でしょうか?
行動の前には必ず
「想像」
をします。
このメカニズムが
「人からチャレンジを阻む」
という結果を導きます。
A 確実に想像できる未来
B よくわからない未来
あなただったらどちらを選ぶでしょうか?
吊るされた男と同様に
「確実に想像できる未来」
を選ぶでしょうか?
■あなたから行動を奪う本能のメカニズム
人は失うことを避ける
「損失回避性」
という非常に強い性質を持ちます。
マイナスになることを極端に嫌うというものです。
これは本能のメカニズムです。
「知らないモノに触れると生命を脅かすかもしれない」
という太古の昔から遺伝子に受け継がれてきた本能です。
よくわからない未来に
「可能性があったとしても」
選択しないというのが通常の判断です。
もう少し言えば・・・
上手くいく可能性が高いとわかっていても
「損をする可能性がある」
と思った瞬間に行動が失われます。
この寓話では
「死の間際の選択」
でした。
どうせ最後なら
「チャレンジをすればいいのに」
と思いませんか?
しかしそれでも
「人は動けない」
という教訓を伝えてくれているのではないでしょうか?
さらには
「危機やリスク」
が来ることが分かっている。
でも
「今と同じことを続けてしまう」
というのも人の持つ強い行動システムです。
これは
「現状維持バイアス」
というものです。
損失回避性
現状維持バイアス
この2つが掛け合わさり
「人の行動」
は失われています。
もしあなたが今、望まない環境にいるとしたら
「監獄にいるのと同様」
ではないでしょうか?
それでも2つのシステムに引っ張られて
「行動をしない」
という選択を続けますか?
行動が生まれないというのは
「原因不明の病気」
とは異なります。
「原因」がわかっていることです。
それならば
「処方箋やワクチン」
を出すこともできるはずです。
何も行動をしないというのは
「自ら吊るされることを選ぶ」
ということかもしれません。
誰でも
「選択と行動をする権利」
を持っています。
それを使うかどうかは自分次第です。
人気漫画の有名なセリフにもある
「生殺与奪の権利を他人に与えるな!」
と言われそうです。
ビジネス寓話シリーズ「吊るされた男」をお送りいたしました。