【ビジネス寓話シリーズ】「粟の長者」起業家に現れる3つの分岐点

2020.02.09

齋藤英人
レゾンデートル株式会社 代表取締役
『行動創造理論』第一人者
自らが開発した「行動創造理論」を活用し企業研修、公開講座、ビジネス講演など年間100回以上登壇をしており、大手企業や成長企業を中心に営業力向上と売上拡大に力を注いでいる

 

今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。

 

今日のお話は
「粟の長者」
です。

 

どんな教訓があるのでしょうか?

 

————————————-

 

昔、伊豆の三浜というところに、働き者の貧しい男がいました。

男がいくら働いても、荒れ果てた畑からは、食えるものはなにもとれません。

そんなある夜、男は不思議な夢を見ました。

 

広い荒れ地に
「白い馬」
が現れ、金に輝く粟の穂を食べている夢でした。

 

 

目を覚ました男は、夢に出てきた場所が
「蛇野が原」
にそっくりなことに気がついた。

 

そこで次の日蛇野が原へ行ってみると、なんとそこには
「夢でみた白い馬」
が金の粟の穂を口にくわえていました。

 

「ああ、ありがたや。きっとここを耕せという神様のおぼしめに違いない。」

 

男は夢中で、蛇野が原一帯の荒れ地を耕しました。

秋になると粟の穂は見事に実り、金に輝く粟の大豊作となりました。

 

こうして男は、たちまち
「粟の長者」
と呼ばれる大金持ちになりました。

 

男は、有り余る粟を
「家の屋根から壁まで」
あらゆる所に塗りこみ、ピカピカの家を建てました。

 

 

それから何年かたったある年のこと。

 

村は大変な飢饉にみまわれ
「食べ物がなくなった村人たち」
は粟の長者の家に、粟を恵んでくれとやってきました。

 

ところが、贅沢に慣れた粟の長者は
「この粟はわしのものじゃ。一粒もやらんわい。」
と、村人たちを追い返してしまいました。

 

それから飢えに耐えかねた村人たちが、長者の寝ているすきに
「家の壁に塗りこめてあった粟」
をむしとりはじめました。

 

長者は壁の粟を取られまいと
「壁中に何重にも厚く泥」
をぬってしまいました。

 

これには村人たちも困ってしまい、なくなく村を去っていきました。

 

 

その夜、長者がぐっすりと眠りについた頃
「カリカリ」
という音が蔵の方から聞こえてきました。

 

目を覚ました長者は、蔵へ行ってみてびっくりしました。

 

蔵の中で、何千、何万という
「ネズミ」
がカリカリと粟を食べていたのです。

 

そうして不思議なことに、ネズミたちは蔵の粟を食べ尽くすと、一つのかたまりとなりました。

 

外へ飛び出しやがて
「白い馬」
に姿を変え、空へとのぼっていってしまった。

 

「あ、あの馬は、昔わしが夢で見た神様の馬!」

長者はやっと思い出しました。

 

貧しくて、一日中ひもじい思いをしていた時のことを。

「わしは神様によって長者にしてもろうたのに、貧しい人に粟の一粒も恵んでやれんかった。それで神様が怒りなさったんじゃ。神様、許してくださいませえ。」

 

それからというもの、男は元の百姓に戻り、また畑を耕しはじめたそうです。

 

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■この話は起業家の物語

 

このお話は
「起業家の物語」
にそのまま置き換えることができます。

 

ほとんどの起業家は
「金ナシ、コネなし」
で事業をスタートしたことでしょう。

 

そのころは恐らく
「苦労の連続」
であったかもしれません。

 

もしかしたらこの時点で
「起業の道を断念する」
という人もいたかもしれません。

 

 

そんな中続けていると
「チャンス」
が目の前に現れます。

 

寓話では
「白い馬」
として現れます。

 

このお話では男がチャンスをつかんだ話です。

 

夢に出てきた場所にわざわざ出向き
「1頭の馬がくわえていた粟」
で必死に荒れ地を耕しました。

 

「チャンスの女神に後ろ髪はない」
というビジネスの格言があります。

 

「あれはチャンスだった!」
と後で気づいても遅いということです。

 

 

男は見事にチャンスをつかみ成功しました。

このことは素晴らしいことだと思います。

 

この男も元々
「恵んでもらおうとした村人たち」
と大差はなかったのです。

 

必死に荒れ地を耕したから成功しました。

飢えに苦しむ村人たちは、どこまでやっていたのでしょうか?

 

この男は起業家として
「必要なバイタリティ」
を十分持ち合わせていたということです。

 

 

■起業家として2つ目の分岐点

 

ただそのあとに
「その時点での結果に満足してしまった」
ことが分岐点です。

 

稼いだ粟を自分のためだけに使いました。

 

ここで
「再投資」
ができていれば、全く違う物語になりました。

 

もしかしたら
「村に飢饉」
などは来なかったかもしれません。

 

 

世界的企業も
「はじめは小さなガレージ」
からスタートしていることはご存知だと思います。

 

その起業家たちが口をそろえて
「その頃のことは今でもはっきり覚えている」
と言っています。

 

規模の違いはあれど多くの経営者は
「同じ気持ち」
ではないでしょうか?

 

 

その後、男は
「元の貧しい百姓」
に戻りました。

 

ただこの男はここで終わるでしょうか?

また畑を耕し始めたとあります。

 

またチャンスをつかんで成功する可能性は十分あるでしょう。

 

実際の市場でも、そういった
「バイタリティ溢れる経営者」
はたくさんいます。

 

 

このようにこのお話は
「起業家の話」
と見ることができるのではないでしょうか?

 

私自身、改めて身に染みるお話でした。

 

 

今日はビジネス寓話シリーズ
「粟の長者」
をお送りいたしました。

 

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行動創造理論第一人者
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