【ビジネス寓話シリーズ】「ロバと馬」もしロバが交渉術を持っていたら…

2021.08.29

齋藤英人
レゾンデートル株式会社 代表取締役
『行動創造理論』第一人者
自らが開発した「行動創造理論」を活用し企業研修、公開講座、ビジネス講演など年間100回以上登壇をしており、大手企業や成長企業を中心に営業力向上と売上拡大に力を注いでいる

 

 

交渉術と後悔のメカニズムの教訓が詰まった話

 

 

今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。

 

 

「ロバと馬」
というお話です。

 

 

どんな教訓があるのでしょうか?

 

 

———————————————-

 

ある旅人が
「ロバとウマ」
を連れて、荷物を運んでいました。

 

 

ロバが荷物の重さに耐えかねてウマにこう言いました。

「ウマ君、ウマ君、ちょっと僕の荷物を持つのを手伝ってくれないかい。」

 

 

すると、馬は
「僕だって重いんだ。悪いけど出来ないよ。」

 

 

そのうちに、ロバは疲れて死んでしまいました。

それから飼い主は、ロバの荷物を全部馬に運ばせました。

 

 

「少しの荷物をことわったばかりに、全ての荷物を運ぶはめになってしまった。」
と馬は後悔しました。

 

———————————————-

 

イソップ寓話の一節です。

後先を考えずに目の前の楽なことを選ぶと、結局苦しむというお話です。

 

 

「因果応報」
ということでしょうか?

 

 

■ロバの交渉がもっとうまかったら物語は変わっていた!?

 

 

ビジネスの場面に置き換えると
「この仕事少し手伝ってくれない?」
と同僚に頼まれる時と一緒でしょうか?

 

 

「私だって忙しいから」
と言って断る場面と一緒です。

 

 

「ロバと馬」
のお話では、断った馬の方にフォーカスしています。

 

 

しかしよくよく考えると
「死んでしまったロバ」
の方が不憫ではないでしょうか?

 

 

もしロバが
「頼み方」
を変えていたらどうなったでしょうか?

 

 

恐らく結果は大きく変わっていたでしょう。

 

 

ロバの
「重いから手伝って」
という交渉では、確実に断られます。

 

 

営業で言えば
「私が儲けたいから買って」
といっているようなものです。

 

 

こんな交渉で売上があがるはずが無いことはわかるでしょう。

 

 

たまに若い営業で
「自分を助けると思って契約してください」
と言ってくる人がいますが、すぐにでも止めた方が良いでしょう。

 

 

交渉の基本は
「相手の行動を創ること」
です。

 

 

そのために必要なのは
「行動のメカニズム」
を先回りすることです。

 

 

人は目の前の情報と過去の記憶を組み合わせた
「連想記憶」
で意思決定を行います。

 

 

行動のメカニズムを先回りするというのは
「目の前の情報の見せ方を変える」
ということです。

 

 

例えば…。

 

A「手術は90%成功します」

B「手術は10%確実に死にます」

 

 

Bの伝えられ方をされた場合
「手術を受ける」
という選択をどれだけの人が取るでしょうか?

 

 

人の行動で優先されるのは
「恐怖と損失」
です。

 

 

もしロバが馬に
「恐怖と損失を感じさせる伝え方」
が出来ていたら、助けあいの話になっていたかもしれません。

 

 

あなたは営業で
「恐怖と損失」
を伝えたことがありますか??

 

 

■後悔のメカニズム「やった後悔とやらない後悔」

 

 

ロバと馬にはもう1つ教訓があります。

 

 

もう1つの教訓は
「後悔のメカニズム」
です。

 

 

物語の最後に馬は後悔をしています。

「少しの荷物をことわったばかりに、全ての荷物を運ぶはめになってしまった。」

 

 

さて、馬の言葉で気づくことはありますか??

 

 

馬の言葉には
「断ったから、全ての荷物を運ぶことになった」
と記されています。

 

 

後悔というのは
「やらなかった行動」
に対して圧倒的に生まれる性質があります。

 

 

やった後悔

やらなかった後悔

 

 

当然両方ありますが
「人の脳はやらなかった後悔」
の方が強く感じます。

 

 

やらない選択をした瞬間に
「結果の選択」
を放棄することになります。

 

 

もしやるを選択した場合
「次も選ぶことが出来る」
状況になります。

 

 

自分で選択する量の差が出るので
「やらなかった後悔」
の方が多く現れます。

 

 

人には
「自己決定感の欲求」
という強いバイアスがあるからです。

 

 

ただその癖に
「現状維持バイアス」
というさらに強いメカニズムが存在しています。

 

 

多くの人は
「やらない」
という選択をして後悔をしてしまいます。

 

 

一番良い選択は
「少しだけやる」
ということではないでしょうか?

 

 

例えば馬の立場だったら
「1つだけ持ってみる」
という選択です。

 

 

もし1つだけ持つという選択をしていれば
「意外といける」
となったかもしれません。

 

 

その間にロバが回復し
「助け合いながら旅を続ける」
というお話になったかもしれません。

 

 

行動というのは
「大きくある必要は無い」
と覚えておいても良いでしょう。

 

 

大きくやろうとするから
「変化を予知してやめてしまう」
となります。

 

 

現状維持バイアスが働かない程度の
「行動」
だけでも、あなたから見える世界は変わります。

 

 

最後は自己啓発っぽい言い回しになりましたが
「行動科学」
における事実と言い換えられます。

 

 

今日はビジネス寓話シリーズ
「ロバと馬」
をお送りいたしました。

 

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