【ビジネス寓話シリーズ】「周瑜と黄蓋」三国志に隠されたビジネスの教訓とは?

2022.11.27

齋藤英人
レゾンデートル株式会社 代表取締役
『行動創造理論』第一人者
自らが開発した「行動創造理論」を活用し企業研修、公開講座、ビジネス講演など年間100回以上登壇をしており、大手企業や成長企業を中心に営業力向上と売上拡大に力を注いでいる

有名な三国志の1シーンに隠されたビジネスの教訓とは?

 

 

今日は大人気の
「ビジネス寓話シリーズ」
をお送りいたします。

 

 

「周瑜と黄蓋」

 

 

私も好きな三国志演義の中の一節です。

どんな教訓があるのでしょうか?

 

 

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呉の軍師である周瑜が、長年尽くしてきた武将の黄蓋を皆のまえで鞭を打ちます。

若い軍師である周瑜は、老将である黄蓋に対してひどいことをすると味方も目をふさぎます。

 

 

そして黄蓋は敵国である魏の大将である曹操に連絡を取ります。

「こんなひどい仕打ちをされてついていけない、魏に寝返りたい」と伝えます。

優れた将である黄蓋の申し出に曹操は喜んで受け入れます。

 

 

黄蓋は自分の軍を引き連れ、曹操が待つ魏に向かいます。

夜の暗がりの中、軍船数十隻を引き連れていきました。

 

 

しかし黄蓋が軍船に積んでいたのは武器や食料ではなく
「枯れた草木の束」
でした。

 

 

黄蓋の船が魏の軍の中腹に入ったところで、軍船に火をつけ一気に攻め入り曹操軍を火の海に沈めました。

 

 

黄蓋の投降は周瑜の策だったのです。

この敗戦により、曹操は中原を制する絶好の機会を逃しました。

 

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三国志演義には
「軍師」
が登場し、様々な策を講じて見方を勝利に導く姿も見どころの1つです。

 

 

軍師たちが繰り広げる策は、現代のビジネスにも数多くの気づきを与えてくれます。

今日のお話の教訓を見ていきましょう。

 

 

■曹操に起きていたのは「自信過剰バイアス」

 

 

まず初めの教訓は
「自分の仮説を疑わない」
ということでしょう。

 

 

曹操は黄蓋が受けた仕打ちに対して
「功労者である武将に対しての仕打ちがひどい」
と考えました。

 

 

だから魏に投降してくるのは当たり前だと信じたことです。

 

 

戦争をしている相手です。

簡単に信じ込んで良いわけがありません。

策略である可能性は疑っても良いでしょう。

 

 

もしかしたら部下から
「策略かもしれない」
という進言はあったかもしれません。

 

 

しかし、中原統一が見えるところまできた曹操には
「自信過剰バイアス」
が強く働いていたのでしょう。

 

 

大きなエラーとなり、統一の機会を自らのがしました。

 

 

人の脳は目の前の出来事を
「自分が経験したことに置き換えて判断する」
ことしかできません。

 

 

意思決定や考えというのは
「過去の記憶に基づき行われる」
ということです。

 

 

成功者は同じような思考パターンで成功をしてきたということです。

そうなれば、自信過剰になるのも頷けます。

 

 

私たちのビジネスでも
「自分の仮説を疑う」
ということは中々できない事です。

 

 

自分の考えを一旦否定しなければならないからです。

 

 

「意識的に行わなければ自分の仮説は否定できない」
と憶えておくだけでも、次の意思決定は変わるでしょう。

 

 

知識は記憶の変化をもたらし、思考パターンを変えてくれるからです。

 

 

■もう1つの教訓は「トップセールスと売れない営業の差」

 

 

もう1つの教訓は
「呉の兵士までも信じた」
ということです。

 

 

策であることは周瑜も黄蓋も知っています。

しかし知らされていなかったとはいえ、兵士全員が信じたのは演技力でしょうか?

 

 

もしかしたら信じていたのは
「その場にいた兵士だけ」
なのかもしれません。

 

 

噂で聞いた兵であれば
「黄蓋様がそんな仕打ちをされるわけない」
と思うことでしょう。

 

 

そして、あざだらけの黄蓋を見たときに信じることになります。

 

 

このことは
「知覚情報の違い」
にあります。

 

 

人が知覚する情報の83%は
「視覚情報」
となります。

 

 

つまり実際に見たものを強く認識するということです。

 

 

「見たものが全て効果」と呼ばれるものです。

「百聞は一見に如かず」のことわざはを科学的根拠を示したものです。

 

 

例えば高額の商品を買うとき
「1度実物を見たい」
と思うのも、同じような効果から来ます。

 

 

ネットで詳しく調べた方が、店頭で見るより、かなり多くの情報に触れています。

しかし、視覚情報で見ない事には信用できないのが人の脳です。

 

 

「見たものが全て」がわかっている営業は提案方法が変わります。

必ずお客様に見て触れてもらうことを行います。

 

 

たとえそれが無形商材であっても同様です。

どんなに良いプレゼンテーションをしたとしても、観て触れなければわからないということです。

 

 

提案からクロージングの中で
「どのタイミングで、どのように見てもらうか」
というのを実際に考えています。

 

 

売れない営業は
「スペックと実績だけ語る」
ので、中々契約までたどり着きません。

 

 

信じる兵士と信じない兵士の差は
「見たか見ていないか」
だったはずです。

 

 

そしてトップセールスと売れない営業の差は
「実際に見せたか、見せていないか」
でしょう。

 

 

今日はビジネス寓話シリーズ
「周瑜と黄蓋」
をお送りしました。

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